ヴォルフラム・ペルニース教授によるDFGライプニッツ講演会 2025

ヴォルフラム・ペルニース教授によるDFGライプニッツ講演会2025

2025年のライプニッツ賞受賞者で実験物理学者であるハイデルベルグ大学キルヒホフ物理学研究所ヴォルフラム・ペルニース教授(Prof. Dr. Wolfram Pernice)が大阪と京都で講演を行いました。

大阪大学での講演会の様子

© DFG

2025年のゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ賞受賞者でありハイデルベルグ大学のヴォルフラム・ペルニース教授(Prof. Dr. Wolfram Pernice)は10月末に大阪、11月初めに京都で講演を行いました。大阪では「ニューロモルフィック光回路による知能物質の実現」、京都では「人工知能とニューロモルフィックコンピューティングのためのフォトニクス」と題し、最新の研究をもとに人工知能分野での大幅なエネルギー消費節約の可能性を示しました。

大阪での講演は、1031日に大阪大学南部陽一郎ホールにてDFGと大阪大学大学院理学研究科との共催による分野横断型シンポジウム「Cutting Edge Intelligent Matter」の一環として開催されました。開会挨拶は大阪大学大学院研究科長の近藤忠教授が務め、続いてDFG日本代表部副代表のズィモン・エスラーがDFGの概要や有用な助成を紹介しました。さらに大阪大学大学院理学研究科の松本卓也教授が自身がコーディネーターを務め、ペルニース教授や国内外の研究者が参画している日本学術振興会(JSPS)の研究拠点形成事業「マテリアル知能」について説明しました。

シンポジウムでは、ペルニース教授のほか、大阪大学大学院理学研究科化学専攻の齊藤尚平教授や吉田将己准教授、高分子科学専攻の橋爪章仁教授や高島義徳教授、小林裕一郎助教がそれぞれの研究について発表を行い、ペルニース教授は「ニューロモルフィック光回路による知能物質の展望」と題し、光子を用いて複雑な計算を最小限のエネルギーで処理するコンピューターチップの可能性について講演しました。

参加者は院生から研究者まで約70名にのぼり、講演会後の交流会では、ペルニース教授や発表者、参加者との間で活発な議論が交わされました。また、講演会と合わせてペルニース教授は、大阪大学レーザー研究所(ILE)や産業科学研究所(SANKEN)に訪問し、日本人研究者との意見交換を行いました。

京都では112日に京都大学HORIBAシンポジウムホールにてハイデルベルク大学京都オフィス設立10周年記念イベントの一部としてハイデルベルグ大学京都オフィスとDFGとの共催で「ハイデルベルグⅩライプニッツ講演会」が開催されました。ハイデルベルグ大学学長のフラウケ・メルヒオール教授(Prof. Dr. Frauke Melchior)、ハイデルベルグ大学京都オフィス代表のザビーネ・シェンク(Sabine Schenk)氏、DFG日本代表部副代表のズィモン・エスラー(Simon Essler)が開会挨拶を行いました。

「人工知能とニューロモルフィックコンピューティングのためのフォトニクス」と題し、ペルニース教授は、人工知能システムの進展による増加するエネルギー需要の世界的な社会課題を指摘し、また、自動運転や大規模言語モデル(LLM)の分野において実験物理学分野の研究がどのように持続可能で環境に配慮した技術進歩をもたらしているのかを紹介しました。講演会後のランチレセプションでは、会場にはDFGやハイデルベルグ大学京都オフィス、DAADDWIH東京の資料展示もあり、ペルニース教授と参加者が交流を深めました。