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2015年のSTSフォーラムは国際的な科学技術の発展について議論

人類の未来はどのようになっていくのでしょうか?私たちは具体的に今、何ができるのでしょうか?毎年10月初めに開催される科学技術と人類の未来に関する国際フォーラムSTSフォーラムは約100か国に及ぶ科学、政治、経済、メディアのエキスパートが一堂に会し、地球的規模の問題について話し合いが行われる貴重な場所です。感染症、気候変動、データ保護といった課題を一つの国だけで解決することは困難であるといえます。そこで、STSフォーラムは国境を越えて、国際的なネットワークを強化することを可能にしています。

毎年京都で開催されている国際会議STSフォーラムは、今回で12回目を迎え、開会挨拶で尾身幸次創設者兼理事長は、数千人の出席者を前に「私たちが何をすべきか、今、私たちが決めるべきであります。」と述べました。10月4日から6日まで、生産的な雰囲気の中、ディスカッション、意見交換、事例を挙げ、互いを刺激しあうだけでなく、特に科学技術が可能な解決策にどのように貢献する事ができて、何ができないのかについての見解も出されました。どのようにして科学イノベーションの光と影のバランスを保ち、よりよい管理がなされるべきでしょうか?また、社会の受け入れは科学技術の発展に関する問題に対しどのような役割を果たしているのでしょうか?

STSフォーラムのプログラムは講演、円卓会議(ラウンドテーブル)、討論会で構成され、今年は「エネルギーと環境」、「ライフサイエンス」、「エンジニアリングとイノベーション」、「自然環境保護」、「科学技術協力」、「スマートシティー/インフォメーション・コミュニケーションテクノロジー」、「科学技術と社会」の7つのテーマが取り上げられました。ノーベル賞受賞者を含む多くの著名な参加者は講演者として、自身の専門分野や自身の経験について発表しました。また、ドイツの学術界の代表者も数名、講演者として招待されていました。ライプニッツ協会の会長 マティアス・クライナー(Matthias Kleiner)教授は、エネルギー転換について発表し、ドイツ連邦教育研究省事務次官 ゲオルグ・シュッテ(Georg Schütte)氏は、連邦教育研究省のハイテク政策の事例におけるイノベーションの促進について、ドイツ国立学術アカデミーレオポルディーナ会長ヨルク・ハッカー(Jörg Hacker)氏は、栄養と植物の遺伝子工学技術の将来性についてのセッションを担当しました。

会期中に開催されたセッションの中のほとんどは、公的シンクタンク機関である研究開発戦略センター(CRDS)センター長 吉川弘之氏が「私たちはプランBを考えなければなりません。まだゲームは終わったわけではないのです。」とまとめた呼びかけにつながります。迅速で、一方で反射的に行動することが重要であり、近い将来ではなく、4、5世代先まで考えた長期的な視野を持たなければならなりません。そして、京都から世界にむけて発信されたメッセージは希望を持つことは決して悪いことではないということでした。

政界からの挨拶も多くあり、安倍晋三内閣総理大臣は、個人的なビジョンとして2020年東京オリンピックが開催される頃には大都市東京に自動運転の自動車が走っている可能性を示唆し「そのような時代が間もなくやってきます」と話しました。また、ロシア連邦副首相アルカジー・ドヴォルコヴィッチ(Arkady Dvorkovich)氏も実用的なものを開発するための新しいテクノロジー(ロボットスーツ等)の追い風として、パラリンピックを取り上げました。 そして、知識もまた金なりと話し、ロシアを重要なパートナーとする共同プロジェクトの促進をアピールしました。フランスのマニュエル・ヴァルス(Manuel Valls)首相は技術開発のモットーとして、デジタル技術改革を強調しました。また、アメリカのバラク・オバマ大統領の科学技術相談役で、物理学者のジョン・P.ホルドレン(John P. Holdren)氏は最後に、科学技術政策の基本的な問題部分として、政治家たちが研究費助成の審査の際、予測不可能が特性である研究を、目標や実用化できる可能性ばかりで判断していると非難しました。

そして、これが、結果として基礎研究の資金不足を生み出していると加えました。 ほかにも研究に夢中になる若者を増やしていくという、さらに重要な課題に「私たちは仕組み作りに若い人をもっと取り込んでいかなくてはなりません!」と提案していました。

話し合いが行われていた場では、新しいワクチンの開発から、再生可能エネルギーの構築、そして社会との対話に至るまで、さまざまな科学分野のイノベーションにおける成功とチャンスへの挑戦が挙げられましたが、政治的文書が署名されることはありませんでした。STSフォーラムは同じ立場同士で「本物の対話」をすることを可能にし、そこに重きが置かれています。DFGは2003年から本メンバーとして加盟しており、2010年から科学技術振興機構(JST)とともにファンディング機関長会合(FAPM)を発足し、STSフォーラム会期中に開催しています。

シュツットガルト大学でシステム理論分野を専門とする、DFG副会長のフランク・アルゲバ(Frank Allgöwer)教授は今回2回目の参加で、「STSフォーラム自体が特別な場であり、本当に素晴らしい。年に一度、世界中の科学分野の専門家が日本に集結し、プログラムの中だけに留まらず、個人的にもいろいろな話ができる貴重な機会である」と話しました。それを示す具体例としてDFG国際交流部部長兼日本代表部代表のヨルク・シュナイダー(Jörg Schneider)は、「昨年、日本の行政機関の方と話す機会があり、さまざまなアイディアや研究公正を高める取組についての意見交換を行ったこと」を発端に、実際に2015年9月に日本のパートナー機関とともに研究公正に関する二か国間シンポジウムを開催するにまで至ったことを挙げました。さらに「今回の二か国間シンポジウムでは両国が類似する事例に対しどのように対応しているか、互いの国のやり方について知る機会ができ、大変有益なものであった」と実感しています。

今後は、オピニオンリーダーや政策決定者はSTSで話し合われたことを現実社会に移行し、細かい問題点と政策の国際的な状況とのバランスを保たなければなりません。

開会挨拶 尾身幸次創設者兼理事長

開会挨拶 尾身幸次創設者兼理事長

© DFG/Schneider