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DFGとJSTがワークショップを共催

研究マネジメント人材育成

DFGとJSTは6月12日に東京で「研究マネジメントの人材育成」をテーマとするワークショップを共催、日独の11人のエキスパートと40人の参加者により活発な意見交換が行われました。

このワークショップでは、主催者のDFGとJSTのほか、カールスルーエ工科大学(KIT)、サイエンスマネジメントセンター(ZWM)、シュパイヤー行政大学院、ドイツ航空宇宙センター(DLR)、東京大学、日本学術振興会(JSPS)、文部科学省により学術研究と研究開発のマネジメントに対するアプローチについて発表がなされました。開会の挨拶では、ドイツ大使館経済部部長のルッツ H. ゲアゲンス公使(Dr. Lutz H. Görgens)とJSTの中村道治理事長がともに、日独の連携には両国の学術研究と研究開発を促進し、(ドイツ大使館のモットーでもある)「ドイツと日本、ともに未来へ」大きな可能性がある点を指摘しました。

日本とドイツは内容は異なるものの独自の高等教育システムを展開し、また限られた資金と優秀な人材をめぐる競争、さらに高齢化の進行という状況で同様の課題を抱えており、様々な解決策を模索しています。今回のワークショップは、両国のシステムや「研究マネジメント(サイエンスマネジメント)」への取り組みについて見聞を深める場となりました。

JST理事長 中村 道治 様

JST理事長 中村 道治 様

日本の「研究マネジャー」は3つのタイプに分類されます。府省と総合科学技術会議(CSTP)レベルでは「サイエンスマネジャー」が施策や戦略を立て、助成機関レベルではいわゆる「プログラムディレクター」「プログラムオフィサー」「プログラムマネジャー」が国内外の助成プログラムを管理しています。そして大学や研究所にはそれぞれに管理部があり、内部の管理業務と並行して助成金の案内・調達、国外との連絡・調整、内部および対外的なコミュニケーションを手がけています。さらに安全や倫理問題、イノベーションの振興や特許利用といった分野の業務も加わります。この多岐にわたる業務の遂行には組織やスタッフ、時間の投入が必要であり、これにより研究や指導のキャパシティが制限されないのが理想的な形です。また、専門知識に長けている必要もあります。そのため、文部科学省では2010年に大学の研究マネジメントにおいて中心的な役割を果たす「リサーチ・アドミニストレーター(URA)」の育成・確保に向けたシステム整備に着手し、現在11の大学でこれを展開中です。

ドイツでも「研究マネジメント」を推進する様々なアプローチが見られます。DFGは様々な研究分野から学位を持つ新卒者を採用し、内部で育成を行っています。ドイツ航空宇宙センターなどの研究機関でも、内部のプロジェクトマネジャーに向けて独自の研修プログラムを展開しています。また、サイエンスマネジメントセンターやシュパイヤー行政大学院、いくつかの大学では、研究マネジメントに求められるスキルに特化した外部向けの養成プログラムやマスターコースを開講しています。
日本では、各種の「研究マネジャー」の育成・養成を専門とする機関が今のところ存在していません。

両国とも、研究マネジメントにはさらなる展開の余地があります。今回のワークショップでは、研究マネジャーに対するキャリアパスの確立、研究機関内および助成機関とのコミュニケーションの強化が直近の課題とされました。高価な器機を共同で利用せず、複数の研究室が個別に調達している、という大学のリサーチ・アドミニストレーターの経験談がありましたが、事前の調整があればこうした調達費用も節約できます。

研究マネジメントには新たなコースで特別に養成したエキスパートが必要かどうかという疑問からは、新たな試練や「研究の公正性」といったグローバルなテーマにより、将来は効率的なサイエンスの「ための」マネジメントの確立がより重要となる点が明らかにされました。これには、日独の議論を通じた新たなアプローチが役立つことでしょう。