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シンポジウム「未来を拓く研究者 ― イノベーションとチャレンジ」

日独双方からのアプローチ

ドイツ研究振興協会(DFG)、ベルリン日独センター(JDZB)、科学技術振興機構(JST)は7月15日に日独修好150周年記念シンポジウムを共催し、200名にご参加いただきました。テーマは連携の効果的な推進、あらゆるキャリアステージの研究者による革新的研究の2点。特にハイリスク研究に焦点があてられ、次世代研究者の支援アプローチ、両国の支援システムの特徴、また学界・社会における両国連携の課題とチャンスについて議論が交わされました。

本シンポジウムは日本科学未来館のみらいCANホール(東京・江東区)で開催されました。縣公一郎評議員(ベルリン日独センター)、DFGのマティアス・クライナー会長(Professor Dr.-Ing. Matthias Kleiner)、JSTの北澤宏一理事長の開会挨拶に続き、本庶佑議員(内閣府総合科学技術会議)、渡辺格次長(文部科学省科学技術・学術政策局)、ペーター・ロンドルフ経済・科学担当公使(Peter Rondorf)(在日ドイツ連邦共和国大使館)にご挨拶をいただきました。

それに続く2つの基調講演では、人類が抱えるグローバルな問題について画期的な解決策を見出すために、国際連携が不可欠である点が強調されました。今日の微生物学研究も日独の連携による数々の発見に基づいており、その一例としてロバート・コッホ研究所(1897年設立)と北里研究所(1915年設立)の共同作業が挙げられています。スピーカーのユルク・ハッカー会長(Professor Dr. Dr. h.c. mult. Jörg Hacker)と河岡義裕教授は、特に感染症対策における国際的な共同研究が重要性であると述べました(配布資料参照)。

シンポジウムのスピーカーとパネリスト

シンポジウムのスピーカーとパネリスト

続いて、「革新的研究の成功と研究者を支えるための仕掛け(ハイリスク研究支援)」をテーマに、DFGとJSTのイノベーションに繋がるハイリスク研究への支援システムについてパネルディスカッションが行われました。DFGのクライナー会長は、革新的研究には不確定要素が多く、申請者側も助成機関側も「勇気」を要する、そのため特別プログラムによる柔軟な支援が必要だと述べました。こうした支援は助成機関にとっても大きな挑戦であり、DFGはハイリスク・プロジェクトに特化した「ラインハルト・コゼレック・プロジェクト(Reinhardt Koselleck Projects)」を介してハイリスク研究に支援を行っています。JSTの北澤理事長は、画期的なプロジェクトを支援するJSTのプログラムとしてCREST、ERATO、PRESTOなどを紹介しました。JSTのプログラムオフィサー研修院の高橋宏院長は、「ハイリスク・ハイインパクト・プロジェクト」の選定・評価で特に必要となる能力について説明しました。続いて行われた質疑応答では、パネリストと聴衆の間で活発に意見が交わされました。ドイツの女性研究者に特化した支援機会に関する質問に対して、クライナー会長はDFGの多数のプログラムと女性応募者の増加を示唆しました。また、ハイリスク研究のうち将来社会に与える影響が予測できないものに関連して、人文科学も議論対象に含めるべきではないかとの指摘には、DFGのハイリスク・プロジェクトでは人文・社会科学研究も支援しており、分野横断型のプロジェクトも多いとコメントしました。

パネルディスカッションに続き、ドイツと日本の研究者により「未来に資する研究実施例−若手による大挑戦」のプレゼンテーションが行われました。セッションIでは、「太陽エネルギーの変換・利用」の新アプローチが紹介され、セッションII「医療の革新を目指して」ではiPS細胞の研究と新たな再生療法、脳の発達に関する新見地が取り上げられ、セッションIII「ナノバイオの可能性を拓く」では医療で利用する上で様々なタンパク質とバイオマーカーのポテンシャルについて発表がなされました。

最終プログラムの日独の研究者によるパネルセッションでは、井上晴夫教授が座長を務め、両国の支援の様々な側面について意見が交わされました。日本については、若手研究者に非常に条件の良い支援プログラムが提供されているものの、若手の自主性・独立性がドイツに比べてかなり低いという意見が出されました。ハンス=ヴェアナー・ショック教授からは、ベルリンのヘルムホルツ研究所における日本の研究者向けの様々な研究滞在の機会が示唆されました。これに関連して、日本の研究者の流動性を向上させるには「帰国者」への支援プログラムが必要だという提案が出されました。ドイツのシステムについては、柔軟で多様な若手研究者向けの支援プログラムが多数あるという意見が出ました。DFGのエミー・ネーター・プログラム(Emmy Noether Program)、マックス・プランク協会やヘルムホルツ協会のグループリーダー・ポストなどを通じて、ポスドクによる自らの研究グループ(独立研究グループ)の組織を支援するなど、早い時期から独立した研究が行える体制が整っています。若手研究者からは、キャリア続行のためテニュアポストの増設といった手厚い支援を望む声が上がりました。また、若手研究者への支援の可能性としては、化学業界のリービッヒ奨学金(Liebig Stipendium)やベーリンガー・インゲルハイム財団のPlus3賞(Plus3 Award)など企業側によるものもあり、ポスドクにはDFGのハイゼンベルク・プログラム(Heisenberg Professorship)、フォルクスワーゲン財団のリヒテンブルク・プログラム(Lichtenburg Professorship)、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団のコヴァレフスカヤ賞(Kovalevskaja Award)、欧州研究会議(ERC)の若手助成金などキャリアアップ支援があげられました。

このディスカッションでは、助成機関と研究者の双方が研究支援について忌憚のない意見を交わす機会の重要性が示されました。

最後に、JSTの眞峯隆義理事が長い歴史を有する日独の研究連携について今一度言及し、今後の一層の発展を期待するとの言葉でシンポジウムを締めくくりました。その後のレセプションでも、シンポジウムのテーマや疑問、提案について活発な議論が交わされました。