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2011年のオイゲン&イルゼ・ザイボルト賞

化学分野の模範的な提携をDFGが表彰

名古屋大学の巽教授

名古屋大学の巽教授

2011年のオイゲン&イルゼ・ザイボルト賞は、2名の傑出した化学者、ミュンスター大学のゲルハルト・エルカー教授(Professor Gerhard Erker)と名古屋大学の巽和行教授に授与されました。お二人の、日本とドイツの橋渡し役として、また学術研究の継続的な支援者としての業績が評価されました。この賞は、元DFG会長のオイゲン・ザイボルト氏と妻のイルゼ夫人が共同で設立した基金によるもので、両教授にはそれぞれ1万ユーロの賞金が授与されます。両教授はDFGと日本学術振興会(JSPS)が共同で支援する日独共同大学院プログラムの第1号である「複雑系機能物質の化学―デザイン・発展・応用(Complex Functional Systems in Chemistry – Design Development and Application)」の創設者あり、2006年より助成を受けています。両教授の受賞により今回初めて一つの研究チームに授与される形となりました。

ミュンスター大学のエルカー教授

ミュンスター大学のエルカー教授

この賞についてDFGのクライナー会長は「日独学界の長年にわたる緊密な関係の象徴」と述べています。両国の絆の強さは、今回の両受賞者とその取り組みにも現れています。いくつもの賞を受賞し、世界に認められる化学者である両教授には、出身国で化学を学び(エルカー教授はボッフムとケルンで、巽教授は大阪で)ポスドクとしてアメリカで研鑽を積み、有機金属化学研究の第一人者となられたことなど、いくつも共通点があります。また、両教授が取り組んでいるテーマは常に関連性があり、いずれも近年になって著しく発展しているものです。

また、学術ポストにおいても、両者が専門的に高い評価を受けていることが分かります。ミュンスター大学有機化学研究所の所長であるエルカー教授は、ドイツ化学会(GDCh)の元会長であり、DFGの評議会やエクセレンス・イニシアティブの共同委員会のメンバーも務めています。巽教授は1994年から名古屋大学で教鞭をとり、文部科学省の科学技術・学術審議会の前委員、日本学術会議の会員の他、現在国際純正・応用化学連合(IUPAC)では副会長を、2012年度には会長を務めることになっています。

国際大学院プログラムの共同設置は2005年にDFGとJSPSの間で締結された覚書に基づくもので、両教授は共通カリキュラムの枠内における連携という構想を現実のものとし、DFGの大学院共同コロキウム(Graduiertenkolleg)に相当するJSPSの日独共同大学院プログラムの樹立に大きく貢献しました。これを支えたのは、両名の迅速な意思疎通と深い信頼関係に他なりません。この学術連携の成果は、DFGによる同プログラムの中間評価で継続が承認されたことからもうかがえます。

オイゲン&イルゼ・ザイボルト賞は、1997年からDFGが隔年で日本とドイツの学者1名ずつに授与しているものです。分野を問わず優れた功績に対して与えられ、人文・社会科学と自然科学の分野から交互に選出が行われます。賞金は、海洋地質学者のオイゲン・ザイボルト元DFG会長とその夫人が共同で設立した基金から交付されています。これには、1980~1985年までDFGの会長を務めたザイボルト氏が1984年にアメリカの環境保護家レスター・ブラウン氏とともに受賞した旭硝子財団の地球環境国際賞「ブループラネット賞」の賞金の一部が当てられています。オイゲン&イルゼ・ザイボルト基金の収益は、学術振興と日独間の連携・協力に役立てられています。

授賞式は2011年5月20日にベルリンのベルリン・ブランデンブルク学術アカデミーで行われました。

シンポジウム「日独学術連携:過去-現在-未来」

2011年は日独交流150周年の節目に当たることから、オイゲン&イルゼ・ザイボルト賞の授賞式に続けてシンポジウム「日独学術連携:過去-現在-未来」(5月20・21日、ベルリン)が開催されました。同シンポジウムには、ノーベル物理学賞受賞者の小林 誠氏(2008年)とクラウス・フォン・クリッツィング教授(1985年)をはじめ、JSPSとJSPSドイツ同窓会の招待により両国から約300名が参加しました。日独の学術連携を振り返る講演のほか、2011年3月11日の東日本の地震・津波・原発事故の影響に関する特別講演も行われました。このシンポジウムはDFGとの共催で、日本大使館にもご協力をいただきました。

2011年オイゲン&イルゼ・ザイボルト賞の授賞式にて

2011年オイゲン&イルゼ・ザイボルト賞の授賞式にて:左よりDFGのクライナー会長、受賞者の巽教授、賞の設立者のザイボルト夫妻、受賞者のエルカー教授、祝辞を述べたアレクサンダー・フォン・フンボルト財団のアウフデアハイデ事務局長リンシャイト教授

© DFG / Fotografie: Bildschön